父の浮気

父は兎に角、浮気に固執した。

戦争中の将校仲間と一緒に浮気を企画した。

それはそれは、懸命に。

時代もあっただろうし、戦争中の抑圧が

そうさせたのかも知れない。

森田たまさんの本に、関西の女は関東の女

に比べて、亭主の浮気には寛容だそう。

しかし、一たび、財産でも、失おう物なら

翌朝には、さっさと荷物を纏めて、「失礼さんどした。」

と、見限るのも早いという。

 

でも、父はお妾さんを持つ程の才覚はなか

った。

勿論、母は寛容になどならず、ヒステリー

を起こした。

でも、それも、肝硬変という大病のお陰で

それどころではなくなった。

始めたばかりの会社と、病気。

この二つに掛かり切りになった。

 

父は肝硬変のお陰で、浮気病が少し治った

のかも知れない。

父は52歳で亡くなった。

 

因みに、父の友人は、お妾さんを囲ってい

た。

そのうち、そのお妾さんは、おとなしい妻

を放り出して、嫁に直ろうとした。

結果、父の友人は、自分が死ぬことで、

辛うじて、妻子を守った。

彼も52歳で亡くなった。

 

これは、母の友人。浮気をする女性もいる。

事情はよく知らないけれど、夫もそうなの

かもしれない。

親の浮気は、子供に表れるという。

万引き、けんか、絶え間ないトラブル。

母も、その人の子供が、学校から、呼び出

されるのに、出くわしたという。

トラブルを起こす子供は、親の浮気を見て

いる訳でもないのに 何故解るんだろう?

 

ところで、父が、浮気に血道を上げ

ていた頃、私達、姉妹は、受験期だった。

といって私達、姉妹は、大きな問題も起こ

さなかった。

あー、でも、私が、学校でいじめに

あった。

姉が市内有数の受験校にいたのに、辞める

と言い始めたりした。

でも、全て、父の病気発覚で、スムーズに

回り始めた。

我が家にとって、父の病気は、姉の学生生

活を建て直し、私のいじめを解消したのか

も知れない。

 

悪いことは悪いことばかりではなかったら

しい。