動物園は苦手だった。でも、ドイツは

動物園へ行くと、檻の中に居る動物達を

見る。

少しぐらい広いケージでも、それはケージ。

自由なんか、ある筈ない。

何かが、死んだ子達が居る。

 

ドイツで、近くの動物園に行こうと誘われ

た。

また、あの死んだ目をした子達に会うのか

と、それはそれは嫌だった。

じゃあ、一人で、ホテルにいる?

確かに、それも、いやだ。

 

仕方がない。

入口に、看板があった。

この動物園には、何種類かの動物がいます。

確か「鹿、あらいぐま(穴熊かも)、りす、ねずみ」

でも、それらは、この広い園内のどこかに

います。会えると、良いですね。

 

えー?

あー、でも、お金、払ったかな?

ちょうど、六甲の森林植物園みたい。

深い森だった。

動物なんか、どこにも、居らんがな。

 

すると、タイミングよく、餌の時間だった

ようで、鹿達が、集まって来た。

そこへ私達が、通りかかった。

私達は初めての、鹿を見たさに、1歩踏み

出していた。

とたんに、鹿達は、耳をそばだて、顔を上げる。

食べようともしなくなった。

 

私達、入っちゃ行けないところに入ってる。

出よう❗️

ドイツ語が、ちょっと読める人が、すぐ横の

看板をみて、言う。

その動物園は、こっちが、許されている道

からだけ、彼らを見る事が出来た。

 

普通の動物園とは、逆。見られているのは

私達の方だった。

 

これも、ドイツでのこと。

バスに乗った。と、ピアス連打で、髪の毛

が針金のような、お兄さん。

席を二つ取って、ふんぞり返っている。

世界中に、こんな人は、居るんだ!

と思った。

 

そこへ来たのは、90歳ぐらいの、お婆さん。

「ちょっと、あんた!何してる?

その足、どけなさい!

一体、何様のつもり!」

ドイツ語はわからないけど、すごい剣幕。

このあと、10分はお説教が、続いた。

勿論、針金おにいさんは、スゴスゴとお婆さんに席を譲り、お説教を拝聴していた。

恐るべし、ドイツお婆さん。

 

給食が美味しいシュタイナー学校や、ちょ

っと自由っぽい、動物園。

そして、お婆さん。

ドイツはなかなか、だった。