母方の祖母と原爆

母方の祖母は広島の出身で、原爆手帳を

持っていた。

暮れに遊びに行くと、玄関のドアノブに

袋入りのお餅が、掛けてある。

「おばあちゃん、こんなの掛けてあった

よ。」

「あ、それな、毎年、なんかくれはんのや

けど、はらみずさんて、誰?」

祖母は小さい頃から、身体が弱く!小学校

へも 殆ど行かなかったそう。

亡くなるほんの少し前まで、ひらがなや

カタカナの練習をしていた。

「おばあちゃん、はらみずじゃなくて、

原水共かなんか。おばあちゃん、原爆手帳

持ってるからじゃない?」

祖母は、あれほど、弱かったのに、原爆の

あと、何故か、82歳で亡くなるまで、健常

者になったかのように過ごした。

この事を 祖母は「原爆のお陰」といってい

た。

母も、丈夫だった。

父は「お前は、きっと、殺しても死なん

のと違うか?」と言った。

この祖母も母も、原爆が落ちた日、たまた

ま広島に出掛け、被災して亡くなった祖父

を探して広島を何日も歩いたという。

いつも、ある神社の前に山積みされている

ご遺体のところで、祈ったそう。

その日、ご遺体が回収されるときも、居合

わせた。二人で、手を合わせ見送った。

すると、足元に、祖父がずっと、手放さなかったパイプが、落ちている。

「お父さん、ここにいてはった!だから、

毎日、ここで、祈ったんだ。」

ところで、原爆投下から、数日しか経って

いない広島を、何日も歩いたなら、二人共

被曝している。

なのに、二人共、亡くなるまで、極め付き

の健康だった。

ところが、その母から生まれた私達、姉妹

は、皆、身体が弱い。

その時、既に、私達 三人は母のお腹の中に

いた。

勿論、こんな難しい事を、軽々に考えるべ

きではない。

被曝の痕跡を見る時、甲状腺の異常とガン

の発生を見るという。

姉も、息子も甲状腺に異常があった。

だから、あの福島の 原発事故の時、女性

だけでも、逃げはった方が 良いのにな。

と思っていた。

ところで、霊能力捜査官、マクモニーグル

という人が、未来予知をしている。

それによると、将来、家庭用で、うんと

小型、安全な原子力発電機ができるそう。

今の電池みたいに、コンビニで売るかしら

「ちょっと原子力電池買ってきて!」

みたいに。