教師という仕事

大学を出て、7年半位 教師をしていた。

学校(中学校)というところは、私にとって、

この上無く、楽しいところではあった。

勿論、何もかもが、上手く行ったわけではな

い。

私という人間はおおざっぱで、細かい所ま

で気が回らず、事務仕事は苦手で、遅くて

綺麗に出来ず、間違いもする。

また、卒業生に言われたとおり「先生、職

員室で、浮いとったなあ」だそうで、そう

言えば、そうだったかもと思う。

だけど、なぜ、そんなことが、バレていた

のか?

それでも、私は、中学生が、好きだった。

中学生は、表面上だけを繕うことが少ない。

少なくとも、わたしが、赴任した学校は

そうだった。

なにより、13歳~15歳というのは心が綺麗

だ。一生の内で何より  美しい時代だ。

例えば、前の授業で、担当の先生と揉めた

らしい。

肩を怒らせ、尖った顔つきで、グランドに入って来る。

「どうしたん?何かあったん?」

「なあ、だって、こんなことあって、

腹立つわあ!」

「そっかあ。そらなあ、腹立つわなあ!」

「はーい、二人組になって!靴脱いで!

順番に、指を回して!足首も回して!」

十分もすると、もう機嫌が治っている。

「先生、今日何すんの?」あのキラキラ

した眼で尋ねてくれる。

(えっ?もう治ってんの?)

確かに、腹が立つ時は、足の親指を回せば

肝臓が、落ち着いてくるので、怒りが収まる。人差し指と中指で胃腸が整うし、薬指

で胆力が、小指でくよくよがなくなる。

足首を回せば、頑固が治る。何事にも融通

が効くようになる。

中学生は、心が綺麗なので、よく効くらしい。

この、十分の足揉みで、事故が無い。

全ての、アスリートが足揉みを準備体操に

すれば、事故は減るし、心身共に整うのに

と思っている。

体育の授業中、私は、ニコニコと笑って

居ることが多かった。その内、一日中笑っ

ているので私の顔に笑顔が固まって元に

戻らんわ。と思ったりした。

当時は、気付かなかった。それが、どんな

に素敵なことだったかを。